隠れた名著『大東亜戦争は、アメリカが悪い』(鈴木敏明著)英文翻訳の完成

 以前、当ブログにおいて、鈴木敏明氏の著作『大東亜戦争は、アメリカが悪い』の書評を数回に分けて連載したことがあった。

 素晴らしい協力者を得て英文翻訳を完成されたとのことで、後で転載する「えんだんじのブログ」の翻訳の経緯の記事を読んで、『論語』の一節「徳、弧ならず、必ず隣あり」を連想した。
 この英訳本が、英語圏において少しでも多くの人に読まれて、広く論議を呼ぶことを願ってやまない。

 この大作は、通史として、大東亜戦争の意義を理解する上で、またそこに至る経緯を理解する上で、渡部昇一氏の『日本史から見た日本人「昭和編」』、故中村粲氏の『大東亜戦争への道』と並ぶ、名著だと思っているが、その内容は決して引けをとるものではない上に、読み易さという点で一番ではないだろうか。

 無名の一草莽としてのこの大それた試みは、自分の立場と照らし合わせてみて、非常に共感と敬意を覚えてしまう。というのは、自分が同時期に上梓した『西郷南洲伝』は、南洲翁、延いては明治維新の見直しであり、それは日本の歴史・伝統を掘り下げるとともに、日本近現代史の見直しに直結せざるを得ないからだ。

 昭和の国民的作家・司馬遼太郎は西南戦争と大東亜戦争の類似を指摘しているし、江藤淳なども『南洲残影』を書いて違う視点から、同じことを指摘している。だからこそ、南洲翁の史伝という形で、維新史を見直す、という難事から事を始めることになったのである。
 西郷論は、謂わば、私なりの日本学事始であり、それは遡れば、日本の伝統とは何かを掘り下げて、国體論に結実せざるを得ないし、下れば、日本の近現代史の見直しを通じて、大東亜戦争論となり、行き着くところ、現代論となる。過去の積み重ねの上に現在がある以上、これは当然の結果である。

 私のことはともかく、以下、「えんだんじ(炎男爺)」先生の英文翻訳完成までの経緯を記した記事「ついに英文翻訳完成!」を転載させていただくことにする。

『えんだんじのブログ』「ついに英文翻訳完成!」 http://www.endanji.com/?p=549

 (転載開始)

 私の長年の一大プロジェクトであった私の大作、「大東亜戦争は、アメリカが悪い」の英文翻訳が完成、今月の7日出版のため印刷会社に発注いたしました。先月には、英文翻訳は完成していたのですが、印刷会社への注文は、年の改まった一月というおめでたい月に発注したいと今週の月曜日(1月7日)に発注しました。出版は6月頃になるかと思います。大作出版以来8年目の快挙になることになりました。この快挙には、私の強力な助っ人の協力なしにはなしえませんでした。その協力者のお話を書かせてもらいます。大作が出版されてから半年後ぐらいの時だった思います、鎌倉市在住で今年84歳を迎えられる渡辺昌明氏から手紙をもらいました。

 この大作が出版され、その出版社が倒産する短い間に沢山の読者から手紙がまいりました。私には財産なので全部保管しています。渡辺氏の手紙の初めにこう書いてあります。

「貴著『大東亜戦争はアメリカが悪い』を拝読し、内容が充実しているのに一驚しました。百五十もの著作を詳細に調べ、千もの記述を選び出し、適切に引用して、大東亜戦争に関する歴史を公平、正確に叙述した労作で、かってない内容の豊富な著作と思います。その不撓不屈な熱意と努力に敬意を表します。」

 彼は手紙の中で大作本の帯に「私はいずれこの本を英文翻訳し、英米をはじめ英語を母国語とする国々の図書館に送るつもりです。」と書いてあるが、自分に英文翻訳手伝わせてくれないか、そのためにぜひお会いして話しがしたいというのです。私も翻訳会社に頼むか、翻訳者を探すか、どっちにするか決めなければなりませんので渡辺氏とお会いしました。彼の話によると、自分はこれまでに大東亜戦争に関する本を沢山よんできた。しかしこの「大東亜戦争は、アメリカが悪い」が一番説得力がある。この本は絶対に英文化すべきだ、彼は無料で手伝いたいと言うのです。私が今までに英文翻訳をして本にした実績はあるのかと聞くと、「ない」という返事でしたが、ただ技術英語を日本語に訳した経験は仕事であると語ってくれました。私は渡辺氏にこの本の「はじめに」と「第一章」を翻訳して私に送ってくれるように頼みました。数週間後だか数ヵ月後だか忘れましたが渡辺氏の原稿が届きました。私の学校英語は、高卒で終わりです。高卒後の英語は、ほとんど独学です。結論からいうと私の英語力は、たいしたことありません。しかし翻訳された英語が英文の体をなしているかどうかぐらいはわかります。

 渡辺氏の翻訳文を見ると、これなら誰か英語ができる人にチェックしてもらえれば使い物になるのではないかと即座に思いました。問題は誰にチェックしてもらうかが問題です。もちろんチェック料も問題ですが。こうして私は、渡辺氏に引き続き翻訳をするようお願いし、私はこの翻訳チェックをだれに頼むのかを決めなければならなくなりました。しばらくの間渡辺氏から翻訳原稿が私の所に送られてきましたが、そのうちにこなくなっていきました。私は翻訳業務が途中でいやになり投げ出すこともありうるとも考えていましたから、いくら遅れても私から原稿催促はしませんでした。しかしその間渡辺氏は、すばらしいことをしていたのです。

 私は、「大東亜戦争は、アメリカが悪い」に説得力を持たせるため、外国人が書いた本の日本語訳本を参考文献にできるだけ多く使用するよう心がけました。翻訳本は全部で28冊ばかり利用しました。渡辺氏は、最初のうち日本語翻訳書に書かれた文章をそのまま英訳していたのですが、これではダメだと、翻訳本の原書を手に入れ、その翻訳文が原書のどこに書かれているかを見つけ出し、原作者の原文をそのまま引用し、「註」には原書のページ数を入れることにしました。こちらの方が英文翻訳本としては、ただ日本語に翻訳された文章を、それをさらに英語に翻訳するというより完璧だし、説得力もあります。翻訳会社は、通常そこまでやりません。与えられた原稿を翻訳するだけです。彼は以下のような原書を自分の費用で手にいれたのです。


1.原書名
  「A PEAPLE & A NATION」(A History Of The United States)
 日本文翻訳書名
  「アメリカの歴史 全6巻」

2.「ABRAHAM LINCOLN」
  「エブラハム・リンカーン (全3巻)」

3.「ALLIES OF A KIND」(The United States, Britain The War Against Japan,
1941-1945)
  「米英にとっての太平洋戦争」

4.「THE CRY OF THUNDERBIRD」(The American Indian’s Own Story)
  「北米インディアン生活誌」

5.「DAY OF DECEIT」(The Truth About FDR And Pearl Harbor)
  「真珠湾の真実」

6.「EMBRACING DEFEAT」(Japan in the Aftermath of World WarⅡ)
  「敗北をだきしめて」

7.「EMPEROR OF JAPAN」(Meiji And His World、1852-1912)
   「明治天皇 上下巻」

8.「FRONTIER VIOLENCE」
  「アメリカ・暴力の歴史」

9.「HOW PEACE WAS LOST」
  「平和はいかにして失われたか」

10.「HOW CHURCHILL LURED ROOSEVELT INTO WWⅡ」
   「真珠湾の裏切り」

11.「INFAMY」(Pearl Harbor And Its Aftermath)
   「真珠湾攻撃」

12.「MIRROR FOR AMERICANS・JAPAN」
   「アメリカの鏡・日本」

13.「COMMODORE GALBRAITH PERRY」
    「ペリー提督の日本開国」

14.「POWER AND PREJUDICE」
   「国家と人種偏見」

15.「RACE AND HISTORY」
   「人種と歴史」

16.「STILWELL AND THE AMERICAN EXPERTIENCE IN CHINA, 1911-45」
   「失敗したアメリカの中国政策」

17.「THE LIMITS OF FOREIGN POLICY」
   「満州事変とは何だったのか 上下巻」

18.「THE GOODMAN OF NANKING」
   「南京の真実」

19.「THE ISSEI」
   「一世」

20.「THE RISE AND FALL OF THE POWERS」
   「大国の興亡」

21.「THE WEALTH AND POVERTY OF NATIONS」
   「強国論」

22.「THE MAN WHO BROKE PURPLE」
   「暗号の天才」

23.「WAR PLAN ORANGE」
   「オレンジ計画」

24.「WAR WITHOUT MERCY」
   「人種偏見」

25.「WEDEMEYER REPORTS」
   「第二次大戦に勝者なし」


 渡辺氏は、これら25冊の原書を手に入れ、読み込み、私が引用した翻訳文の文章がどこに書かれているかを見つけ出し、原作者の原文をそのまま取り入れてくれました。またわずかですが、どうしても手に入らない原書には、日本語翻訳文の英文化ですと断り書きを入れています。いずれにしてもこれは時間のかかる作業です。ここまでしてくれた渡辺氏には感謝感激です。ここで渡辺氏の簡単な経歴を紹介すると、戦前のエリート中のエリートと言えば一高、東京帝大卒です。渡辺氏もそれに同じ経歴です。一高、東大卒です。昭和27年、東大工学部を卒業した渡辺氏は、旭化成にChemistとして入社。以来、一貫してChemistとして道を歩み続け定年まで働いています。

 私は61歳で定年になり、すぐに「大東亜戦争は、アメリカが悪い」を書き始めました。完成までに6年あまりかかりました。その間私は、ほとんど家に閉じこもりで、保守の活動や会合にほとんど参加しませんでした。そのため保守の間では有名人のように名前が知られている「史実を世界に発信する会」の茂木弘道氏を全然知りませんでした。もっと早く茂木氏を知っていれば、この本の英文翻訳ももっと早く完成していただろうと思います。
 ある日、茂木氏に渡辺氏の英文翻訳の原稿を見せました。茂木氏は、「かなり手直ししなければならないところもあるが、私のチェックのあとはネイティブの人にみてもらいますから条件はこうなります。それでよければ時間がかかりますがやります」ということなので、茂木氏と英文翻訳チェックの契約を交わしました。

 茂木氏がチェックした原稿が私と渡辺氏に送られ、二人は別々に原稿をチェック、二人の疑問点、質問などをもちより、茂木氏の事務所で三人の話会いで問題点を解決していきました。その後茂木氏から最終仕上がりの原稿が私と渡辺氏に送られてきました。こういう会合を数回重ねて、完成翻訳本の原稿ができあがりました。最後は私が全文を最初から読みなおし、小さな訂正と修正を加えて完成させました。これだけでも渡辺氏の功績がはかりしれないのですが、さらに有り難いことには、私が支払うべき茂木氏への翻訳チェック費用と出版するための印刷費用の半分を渡辺氏が支払ってくれたことです。私の渡辺氏に対する感謝感激は、言葉で言い表すことができません。渡辺氏の住む鎌倉方面に足を向けて眠ることはできません。

 最後にこの翻訳本出版後の使用方法ですが、資金的に余裕がないので印刷部数は300部です。現在日本に大使館、公使館を置いている外国は、全部で194カ国です。そのすべてに寄贈します。読んでくれるどころか、そのままゴミ箱に直行も覚悟の上です。私と渡辺氏の個人使用に25冊ずつ、合計50冊。残り50冊は外国図書館に寄贈。二人の定年サラリーマンの心意気だけが、一銭の儲けにもならない、費用と年月のかかる仕事を完成させたのです。

 渡辺さんへの感謝の気持ちを述べましたが、茂木氏へも感謝の気持ちを伝えたい。安い費用で翻訳チェックを引き受け、丁寧な仕事をしてくれました。もっと早く彼の存在を知っていればと思っています。ありがとうございました。最後にわが女房にも感謝の気持ちを伝えたい。ありがとう。


(引用終了)

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