日本史上最大の怨霊 (その一)

 前回、NHK番組『知るを楽しむ』の「この人この世界・神になった日本人」で西郷隆盛が取り上げられたことについて触れましたが、民俗学者小松和彦氏の解説について、月並みであまり見るべきところのなかった今回よりも、私はむしろ、その数回前に取り上げられていた崇徳上皇のほうが興味深かったです。
 西郷隆盛は、民俗学的にみて、深く追究すれば大変面白い題材であろうと思いますが、この崇徳上皇も大変面白い存在です。

 明治維新の真相を理解する上で、また日本の民族精神を理解する上で、西郷隆盛がもっとも重要な人物であると私は考えて、その史伝執筆に取り組んだわけですが、その目指すところの王政復古の中心である皇室の精神史・内面史として、崇徳上皇は決して外すことの出来ない重要人物です。
 というのは、明治維新が長い年月政治権力から遠ざかっていた皇室に、権力を取り戻そうとする運動であったとするなら、この崇徳上皇は、皇室が政治権力を失うきっかけとなった人物だからです。
 崇徳上皇は象徴的な意味合いにおいて、当時極った感のある皇室の乱倫、不徳を一身に背負ってお生まれになった人物で、結果的に、皇室にとって最大最強の怨霊となって、皇室から政治権力を奪い去ったのです。
 私はこの歴史的経験が、それまで不定形であった、今の皇室の伝統的帝王学の根幹を固めたのでは、という仮説を立てています。(続く)
 

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