民族の神 ―ニーチェ―

 言うまでもないことだが、ある民族が滅びるとき、未来への信仰や自由への希望が永久に失われて行くのを感ずるとき、そして隷属が第一の利益として、隷属者の徳が自己保存の条件として、民族の意識に昇るようなとき、そういうときには、民族の神も変質しないわけにはいかない。神はいまや卑劣漢になる。臆病になり、控え目になり、「魂の平和」を、憎悪の中止を、寛容を、敵味方の区別なき「愛」すらをも、説き勧めるようになる。神は絶えずモラルを説教する。神はあらゆる私的な徳の洞穴に這いこむ。万民むきの神となり、私人となり、コスモポリタンとなる。……その昔、神は民族を、民族の強さを、民族の魂から発する攻撃的で権力渇求的なもののいっさいを表すものであった。今では神は、単なる善良な神でしかない。…

 ―ニーチェ 『アンチクリスト』―





神こゝに 敗れたまひぬ─。
すさのをも おほくにぬしも
青垣の内つ御庭(ミニハ)の
宮出でゝ さすらひたまふ─。

くそ 嘔吐(タグリ) ゆまり流れて
蛆 蠅(ハヘ)の、集(タカ)り 群起(ムラダ)つ
直土(ヒタツチ)に─人は臥(コ)ひ伏し
青人草(アヲヒトグサ) すべて色なし─。

村も 野も 山も 一色(ヒトイロ)─
ひたすらに青みわたれど
たゞ虚し。青の一色
海 空もおなじ 青いろ─。


―折口信夫 「神やぶれたまふ」―





何?人間は神の一つの失策(へま)に過ぎないって?
それとも、神が人間の一つの失策に過ぎないのでは?


―ニーチェ 『偶像の黄昏』―

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