紅い英雄・毛沢東と日中友好

「日中友好『世々代々に』毛沢東主席の孫が力説」

産経新聞 2012/03/10 18:39更新

http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/diplomacy/549005/

 中国の故毛沢東主席の孫で、人民解放軍のシンクタンク軍事科学院副部長の毛新宇少将(42)が10日、取材に応じ、「中日両国の友好が世々代々、続いていくことを心から希望している」と述べ、今年が日中国交正常化40周年に当たることを踏まえ、良好な日中関係の必要性を強調した。

 毛氏は河村たかし・名古屋市長の「南京大虐殺」否定発言などを念頭に、「両国の間には不愉快な歴史もあった」とした上で、「唐の時代から両国の文化交流は密接だ。両国人民は前を向いて行かなければいけない。中日の友好は世界平和にとって非常に有益だ」と訴えた。(共同)



 毛沢東の孫・毛新宇は人民解放軍の少将にして、シンクタンク軍事科学院副部長だそうである。彼にとって、祖父が残した無限の遺産は、毛沢東思想だとのことである。

「毛新宇」ウィキ解説;http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AF%9B%E6%96%B0%E5%AE%87

「毛沢東思想」ウィキ解説;http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AF%9B%E6%B2%A2%E6%9D%B1%E6%80%9D%E6%83%B3

 世界中の知識人を魅了した毛沢東思想の内容についてはよく知らないが、少なくとも、毛本人とその信奉者たちが引き起こした事態の悲惨さについてはよく知られている。
 と言っても、情報統制主義の一党独裁国家であるから詳細はわからないにしても、多くの国民の生活が、命が犠牲になったことだけは確かである。毛思想の信奉者・ポルポトの自国民大虐殺、いわゆる「キリング・フィールド」や、毛自身の「大躍進」政策、プロレタリア文化大革命では多大な人民が犠牲となった。

 私にとって毛沢東とは、思想家というよりも、天才戦略家という印象が強い。それも支那の歴史が生んだ、最大の戦略家の一人ではなかったかと思う。彼が中心となって、政敵である国民党や日本に仕掛けた謀略は、底知れぬ深さを持っている。

 中国共産党が、国民党と日本を戦わせて漁夫の利を得る、という戦略を立てていたのは有名だ。盧溝橋事件は、中国共産党の周到な用意のもとに仕掛けられた謀略であったことが確実視されつつある。作戦の指導者は秘密党員の張克侠で、作戦を承認したのは、後に文化大革命で毛沢東の標的にされた劉少奇である。
 結党以来、中国共産党はソ連の傀儡であったが、支那事変の泥沼化に成功して、国民党との抗争に対する自信を深めつつあった1940年頃から、親ソ派を粛清して、徐々に独自路線を歩み始めた。この粛清「整風運動」を指導したのが毛沢東であった。そして、コミンテルンは1943年に一応解散。東アジアにおける革命工作は、彼らが主に担うようになっていったのである。
 
中国共産党が国共内戦に勝って、中華人民共和国の建国を果したのは一九四九年十月一日のこと。この日北京の天安門広場で、毛沢東首席が建国を宣言した。

 独立総合研究所の青山繁晴氏は、「WILL」2010年11月号増刊号で、中華人民共和国建国以来の歩みを次のように書いている。


 私は今から八年ほど前、ある政府機関の委託を受けて北京の人民解放軍の将軍たちと議論をしました。…(中略)…私と一番時間を掛けて向き合った将軍はとても有名な方で、朝鮮戦争の指揮官の一人でした。彼はこう言いました。
「青山さん。我々は一九四九年十月一日に北京に紅い星を立てて、共産党と人民解放軍による政府を樹立した時、二つのことを誓いました。これは今まで外国の方に言ったことはありません。
 第一の誓いは、中国は二度と周辺諸国に脅かされない。万里の長城のような役に立たないものを作るのではなく、積極的に周辺地域を抑えようと。
 第二の誓いは人口です。当時は重荷だったが、やがてこのたくさんの人口が我々の財産となり、中国を世界一流の国に押し上げる。だから人口はあくまで増やし続けていく。この二つの誓いをドッキングして考えると、一つの国が思い浮びます。わかりますか?」
 私が「それはインドですか」と聞くと将軍は「その通りです」と答えました。インドだけが、やがて中国の人口を追い抜く可能性があるからです。現在の公表人口でない実人口は中国が十四億以上、インドが十二億以上ですが、国連人口担当官の推測では、遅くとも三年後にはインドが抜くと言われています。中国は五十年も前からそのことを見抜いていたのです。


 青山氏によれば、だから中国はインドを北から抑え込むためにチベットを押さえた。チベット侵攻は、建国の翌年に始まり、五九年三月のチベット動乱を機に、これを達成した。中印国境紛争が起きたのはチベット動乱の三ヵ月後である。
 この事実は先の将軍の言葉を裏付けている。

 西の次に中国が向かったのは北だ。北方の熊の柔らかい腹の部分を突いた。一九六九年のいわゆる「中ソ国境紛争」である。(ウィキ解説;http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E3%82%BD%E5%9B%BD%E5%A2%83%E7%B4%9B%E4%BA%89
 同年三月アムール川支流ウスリー川の中洲ダマンスキー島(珍宝島)の領有権を巡る軍事衝突が起き、八月には新疆ウイグル自治区で軍事衝突が起きた。1940年頃から独自路線を歩み始めた中国共産党とソ連の対立を決定的にした事件であった。(これら中ソ間の国境紛争が解決したのは、2004年の中ロ国境協定によってである。これによってユーラシア大陸の第二ハートランド中国は第一ハートランド・ロシアという、後顧の憂いを絶って、本格的な海洋進出に乗り出すことが可能になったと考えることが出来る。)
 

 こうして見ると、人民解放軍将軍が青山氏に言ったことは間違いではないにしても、それは軍の立場であって、一方で、孫文以来の清朝の最大版図を継ぎ、中華帝国を再興するという国是に則ったものであることも明らかだ。青山氏も指摘しているが、それを支えるには資源が必要である。これが中国が資源獲得に貪欲で、膨張し続けざるを得ない事情でもある。

 こうして西、北と、清朝の最大版図回復の動きを見せた中国は、次いで、南に向かってかつての朝貢国ベトナムに膺懲と称して攻め入った。一九七九年の中越戦争である。
 
 西、北、南と来て、あと残っているのは東である。
すでに北朝鮮はほぼ属国状態であり、残るは台湾と韓国と日本だ。アメリカの衰退が露わとなったこれからが中国にとって待ちに待ったチャンスである。
 中国が尖閣諸島を我が物にしようとしているのは周知の事実だが、今はしきりに沖縄を琉球王国と宣伝している。これはかつての朝貢国として、再び支配下に置くとの予告である。
 日本本土に対しては、卑弥呼の朝貢を引き合いに出して、植民地化を進めつつあるが、すでに植民は猛烈な勢いで進んでいる。国民のほとんどが、肌で感じて不安に思っているはずだ。最近、至る所、やけに中国人が多いな、と。
 それらの中には、人民解放軍の元軍人などが紛れ込んでおり、豊富な人口を武器にした人民戦線戦術は継承されている。中国共産党の命令があり次第、日本各地で彼らが蜂起すれば、日本はお手上げである。


 さて、これらの路線を敷いたのが、「からごころ」の英雄で紅い皇帝・毛沢東であった。その毛沢東が特に意識していたのが、アメリカとソ連の脅威である。
 ソ連との国境紛争は、一九六九年四月の第九回党大会における林彪による文化大革命宣言に前後して行われている。
  
 毛沢東が文化大革命を始めたのは一九六六年だが、これも国防に関する路線の違いという観点から考察されるべきもので、親ソ派を粛清する目的を秘めたものであった。文革最中の一九七一年七月のキッシンジャー極秘訪中はこういった中で起きたものだ。同年九月にはソ連に亡命しようとした林彪の墜死事件が起きている。

 遡って、彼が推し進めた「大躍進」政策もまた、ソ連モデルからの脱却を意味していた。ソ連モデルからの脱却という事は、中国の実状に適した社会主義国家の建設ということであり、人民公社の全国設置もその発想に基づく。それは毛沢東が豪語した「点と化した敵軍を、人民の海のなかに沈める」との戦術に基づくものであったが、実は人民解放軍の近代化を犠牲にしてでも核保有を優先しようとの目的からであった。毛はその実施の為、国民の犠牲を省みることはなかったのである。その結果、二千万とも、五千万とも言われる桁違いの餓死者を出した。
 それは中国人にとって大変な痛みを伴った、ソ連の属国状態からの離脱、自立を意味していたのである。

 左翼人士はそういった意味も理解せずに賞賛し、親米保守は馬鹿にして笑ったが、今となってはこの点で確固たる意志を持ち続けた毛沢東の高笑いが聞こえてきそうである。現在の中国は毛沢東が敷いた国家戦略を継承発展させて、いまや世界に覇権を唱えようとしている。その存在は、特に、アメリカからの自主独立を先送りにして、未だそれをなしえていないどころか、さらに従属傾向を強めつつある日本にとっては深刻だ。
 それを憂いた三島由紀夫の決起は一九七〇年十一月。彼の鋭い感性はこの問題を敏感に感じ取っていたのだろう。

 毛沢東は日米同盟を恐れたが、戦後の日本そのものを恐れていたわけではない。前回、小林秀雄の随筆を引き合いに出して、戦前の大日本帝国は国策として、支那を最友好国と規定し、国民に強制していた事実に触れたが、その流れは、中国文学・哲学研究者などに見られる支那の伝統文化・思想に対する憧れ、本居宣長が言うところの「からごころ」や、大正デモクラシー以来、日本の知識人の頭脳を席巻していたマルクス主義という、いわば「洋心」のない混じった思潮の存在を抜きにしては語れないだろう。

 日本人は、特に戦後日本人は、日中友好を言われると、魔法がかかったように何も言えなくなってしまう。
 毛沢東は、戦前から一貫しているお人好し日本人の日中友好の精神を逆手にとって、鼻面を引き回してきたのである。
 その現代中国はその戦略を発展継承してきた。


 参考までに1970年頃、中国共産党の工作機関が工作員に発した機密文書「日本解放第二期工作要綱」の一部を紹介しておく。


引用①


偉大なる毛主席は

 「およそ政権を転覆しようとするものは、必ずまず世論を作り上げ、先ずイデオロギー面の活動を行う」

 と教えている。

 田中内閣成立までの日本解放(第一期)工作組は、事実でこの教
えの正しさを証明した。日本の保守反動政府を幾重にも包囲して、
我が国との国交正常化への道へと追い込んだのは日本のマスコミで
はない。日本のマスコミを支配下に置いた我が党の鉄の意志とたゆ
まざる不断の工作とが、これを生んだのである。

 日本の保守反動の元凶たちに、彼等自身を埋葬する墓穴を、彼等
自らの手で掘らせたのは、第一期工作組員である。田中内閣成立以
降の工作組の組員もまた、この輝かしい成果を継承して、更にこれ
を拡大して、日本解放の勝利を勝ち取らねばならない。



 引用②


 第1.群衆掌握の心理戦 
 駐日大使館開設と同時になされなければならないのは、全日本
人に中国への好感、親近感を抱かせるという、群衆掌握の心理戦
である。好感、親近感を抱かせる目的は、我が党、我が国への
警戒心を無意識の内に捨て去らせることにある。

 これは日本解放工作成功の絶好の温床となると共に、一部の
日本人反動極右分子が発する

 「中共を警戒せよ!日本支配の謀略をやっている」

 との呼び掛けを一笑に付し、反動極右はますます孤立すると
いう、二重の効果を生むものである。

 この為に、以下の各項を速やかに、且つ継続的に実施する。

1-1.展覧会・演劇・スポーツ

 中国の書画、美術品、民芸品等の展覧会、舞劇団、民族舞踊団、
民謡団、雑技団、京劇団の公演、各種スポーツ選手団の派遣を行う。

 第一歩は、日本人大衆が中国大陸に対し、今なお持っている
「輝かしい伝統文化を持っている国」「日本文化の来源」「文を重
んじ、平和を愛する民族の国」というイメージを掻き立て、更に高
まらせることである。(…以下省略)



「日本解放第二期工作要綱」 http://saigou.at.webry.info/201105/article_6.html


 人民解放軍少将にして、シンクタンク軍事科学院副部長の毛沢東の孫が、我々日本の人民を解放するために、日中友好を唱えて日本人に魔法をかけようとするのもこういった事情からだ。

 「中共を警戒せよ!日本支配の謀略をやっている」

 かく警鐘を鳴らす私などは、彼らからすれば「日本人反動極右分子」ということになるらしい。

 その反動極右分子から警鐘を鳴らしておこう。
 また永田町の反日親中分子が動き出した。民主連合政権樹立の相談だろうか。そう言えば、小沢氏の民主党・党首選立候補と鳩山氏の北京訪問の直後に尖閣諸島漁船事件は起きたっけ。


「輿石、鳩山両氏が別々に習氏と会談」

産経新聞 (2012/03/22 21:39更新 http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/politicsit/551551/

 民主党は22日、中国を訪問する輿石東幹事長が23日午後に北京で習近平国家副主席と会談すると発表した。習氏は次期国家主席への就任が確実視されている。鳩山由紀夫元首相も輿石氏らとは別に23~25日の日程で中国を訪問し、習氏と会談する方向で調整している。鳩山氏は小沢一郎元代表の親書を預かっており、習氏を通じて胡錦濤国家主席に渡す予定だ。




世界の大思想2−16 毛沢東 実践論・矛盾論/人民民主主義独裁について他 【中古】afb
古書 高原書店
発行年:1969年備考:本の装丁:青/黒、函ヤケ・シミ・少イタミ、月報状態:BB6サイズ参考画像です

楽天市場 by 世界の大思想2−16 毛沢東 実践論・矛盾論/人民民主主義独裁について他 【中古】afb の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル

毛沢東箴言(中国語)
人民出版社

ユーザレビュー:

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by 毛沢東箴言(中国語) の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 2

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
面白い

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック