動乱の時代の幕開け

 以下は昭和二十一年一月一日、すなわち終戦後初めて迎える正月元旦に発せられた、いわゆる「新日本建設に関する詔書」全文。

 いわゆる「人間宣言」でもあるが、これがその意を反映していないことは次のことで明らかだ。
 昭和天皇は後に、記者団の質問に対して、次のように述べておられる。

記者 「詔書のはじめに五箇条の御誓文を入れられたのは陛下ご自身のご希望でしょうか・・・・」

陛下 「それが実は、あの詔書の一番の目的であって、神格とかそういうことは二の問題でした。当時アメリカその他諸外国の勢力が強く、日本が圧倒される心配があったので、民主主義を採用されたのは、明治天皇であって、日本の民主主義は決して輸入のものではないということを示す必要があった。日本の国民が誇りを忘れては非常に具合が悪いと思って、誇りを忘れさせないためにあの宣言を考えたのです。」

 昨年末、師走の八日、日本は対米戦争開戦七十年を迎えたが、四年にわたる戦いを経て敗れ、国土は荒廃した。そして、最初に迎えた新年に発せられた、昭和天皇の国民に対するお言葉が次の詔書である。

 もはや、これも、一般国民にとっては、意味不明の碑文の如き性質を持っているだろう。そうでなければ、アメリカ人の勘違い、反日マスコミが創り上げた戦後神話に過ぎない、「人間宣言」という言葉がまことしやかに使われ続けているはずがない。
 本格的な危機の時代を迎えようとしている今、この古格な名文に刻まれた昭和天皇の精神、大御心は、口達者な「どじょう」総理の年頭所感よりも、我々に読むことを要求している。


茲(ここ)に新年を迎ふ。顧みれば明治天皇明治の初国是として五箇条の御誓文を下し給へり。
 曰く、

 一、広く会議を興し万機公論に決すべし
 一、上下心を一にして盛に経綸を行ふべし
 一、官武一途庶民に至る迄各其志を遂げ人心をして倦まざらしめんことを要す
 一、旧来の陋習を破り天地の公道に基くべし
 一、智識を世界に求め大に皇基を振起すべし

 叡旨公明正大、又何をか加へん。朕は茲に誓を新にして国運を開かんと欲す。須(すべか)らく此の御趣旨に則り、旧来の陋習(ろうしゅう)を去り、民意を暢達(ちょうたつ・・・のびのび育てること)し、官民挙げて平和主義に徹し、教養豊かに文化を築き、以て民生の向上を図り、新日本を建設すべし。

 大小都市の蒙りたる戦禍、罹災者の艱苦(かんく)、産業の停頓、食糧の不足、失業者増加の趨勢等は、真に心を痛ましむるものあり。然りと雖も、我が国民が現在の試錬に直面し、且徹頭徹尾文明を平和に求むるの決意固く、克(よ)く其の結束を全うせば、独り我国のみならず、全人類の為に、輝かしき前途の展開せらるることを疑はず。夫れ家を愛する心と国を愛する心とは我国に於て特に熱烈なるを見る。今や実に此の心を拡充し、人類愛の完成に向ひ、献身的努力を効すべきの秋なり。

 惟ふに、長きに亙れる戦争の敗北に終りたる結果、我国民は動(やや)もすれば焦燥に流れ、失意の淵に沈淪(ちんりん)せんとするの傾きあり。詭激(きげき・・・言行が度を越えて激しいこと)の風漸く長じて、道義の念頗る衰へ、為に思想混乱の兆あるは洵(まこと)に深憂に堪へず。
 然れども朕は爾等国民と共に在り。常に利害を同じうし休戚(きゅうせき・・・喜びと悲しみ)を分たんと欲す。朕と爾等国民との間の紐帯(ちゅうたい)は、終始相互の信頼と敬愛とに依りて結ばれ、単なる神話と伝説とに依りて生ぜるものに非ず。天皇を以て現御神(あきつみかみ)とし、且日本国民を以て他の民族に優越せる民族にして、延(ひい)て世界を支配すべき運命を有すとの架空なる観念に基くものにも非ず。

 朕の政府は国民の試錬と苦難とを緩和せんが為、あらゆる施策と経営とに万全の方途を講ずべし。同時に朕は、我国民が時艱(じかん・・・直面している難問)に蹶起し、当面の困苦克服の為に、又産業及文運振興の為に勇往(ゆうおう・・・勇敢に進んでいくこと)せんことを希念す。我国民が其の公民生活に於て団結し、相倚(よ)り相扶(たす)け寛容相許すの気風を作興するに於ては、能く我至高の伝統に恥じざる真価を発揮するに至らん。
 斯の如きは、実に我国民が、人類の福祉と向上との為、絶大なる貢献を為す所以なるを疑はざるなり。一年の計は年頭に在り。朕は朕の信頼する国民が朕と其の心を一にして、自ら奮ひ、自ら励まし、以て此の大業を成就せんことを庶幾(こいねが)ふ。


  御  名  御  璽
  昭和二十一年一月一日 

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