中露同盟

中国、ロシアという、日本にとっての大変厄介な存在について。


(記事転載開始)

「米国は寄生虫」と露首相 中国とは原発推進でも協力

http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/china/531505/

産経新聞 2011/10/12

 中国を訪問中のロシアのプーチン首相は12日、北京の人民大会堂で胡錦濤国家主席と会談し、両国関係及び実務協力の強化について意見を交わした。11日夜には新華社通信など国営メディアの取材に応じ、米国を「寄生虫」と呼ぶなど、米欧への敵対心をのぞかせた。

 同通信によると、プーチン首相はユーロ圏の債務危機を「経済問題というよりも政治的な問題だ」と断じ、中国などと構成する新興5カ国(BRICS)による積極的な支援を否定。「世界経済の寄生虫とは言わないが、ドル基軸の地位に寄生している」と米国を揶揄(やゆ)した。

 一方で、プーチン首相は「福島の悲劇を注視しているが、露中のような大国が原発を持たないのは不可能だ」と述べ、脱原発に傾く米欧の潮流に背を向け、中国と手を携えて原発を推進していく姿勢を示した。(北京 川越一)


(記事転載終了)


 ロシアはユーラシア大陸のセントラル・ハートランドだ。
 地政学に言うハートランドとは中核地域のことである。セントラル・ハートランドとは、中央に位置する最も重要な中核地域ということになる。

(「ハートランド」ウィキ解説;http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%89

 ユーラシア大陸をハートランドが制すると、彼らは必ず外に押し出してくる。
 事実、かつて、ユーラシア大陸の第二ハートランド・シナを支配する清朝の著しい衰退を見たロシアは、清朝と秘密同盟を結んで、押し出してきた。
 それが日露戦争となった。海洋勢力(シー・パワー)である日本は同じくシー・パワーである英国と組んで、ランドパワー・ロシアと戦った。ユーラシア大陸に対するシー・パワーである米国もまたこれに協力した。

 日露戦争は日露の一騎打ちという形をとったが、実質的に、フランスと同盟を結び、清朝を従えたロシアと日英同盟の対決であった。ランドパワーとシーパワーの激突である。
 この時ロシアと清朝との間で結ばれていた対日秘密同盟を露清密約という。

(「露清密約」ウィキ解説;http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9C%B2%E6%B8%85%E5%AF%86%E7%B4%84

 開戦時、すでに満州は実質的にロシアの物となっており、清朝もまたこれを認めていたのだ。
 司馬遼太郎の『坂の上の雲』はこの密約について触れていないが、この密約が暴露され、日本が知ったのは第一次世界大戦後においてであり、それゆえに、好意から、ロシアの手から清朝の故地である満州の地を取り戻してあげたことになる。
 満州人王朝である清ですら故地・満州をロシアに与えていたのだから、満州は中国のものであるという、孫文以来漢民族が唱えてきた主張がいかにいかがわしいものであるか、わかろうというものだ。


 さて、現在の状況はこの時代と似ている。
 
 現ロシアは、共産党の一党支配下にあったソ連を、その下部諜報機関であるKGBが乗っ取った、新たな帝政ロシアである。プーチンはこのKGB出身であり、メドベージェフ大統領との双頭体制を敷いて、独裁体制をカムフラージュしつつ、ロシア帝国再生に向けての権力の足場を固めつつある。

 しかし、今のところ、ロシアは経済的に停滞していて一時の勢いがない。
おそらく新たな密約が、シーパワー・日米同盟に対抗すべく、第一ハートランド、第二ハートランドの両国間で結ばれている事は間違いないが、今現在勢いがあるのは中国のほうである。露清密約の頃とは彼我の関係が逆転している。

 中国がしきりに太平洋に押し出してこようとしているのは、ロシアという後顧の憂いを断った証拠である。中国は旧満州を押さえ、北朝鮮もまた押さえつつある。
 そして、狙っているのが日本列島だ。
 アメリカの世界覇権を裏から支えてきた属国日本は、彼らにとってのどから手が出るほど欲しい物であるに違いない。彼らは一九四九年の建国以来、着々と工作を進めてきた。

 しかし、ロシアとの蜜月関係がいつまでも続くわけがない。
 大陸国家である彼らは、一時の戦略で同盟は組めても、本質的に互いに利害の対立する存在である。
 ソ連の下部組織であった毛沢東の中国共産党がやがて対立に至った事実を見てもいいだろう。

 かつて第一ハートランドであるロシアは、ソ連時代に、西方における第二ハートランドにして、本質的な敵性国家ナチス・ドイツと不可侵条約を結んだが、そのときに両国は膨張を始めた。ソ連がモンゴルで日本軍にちょっかいを出したのも(ノモンハン事件)、不可侵条約締結とほぼ同時である。
 日本はこれに振り回され、「欧洲の天地は複雑怪奇」と言って平沼内閣が倒れたわけだが、独ソの同盟関係は二年と持たなかった。
 ナチス・ドイツが両国の緩衝地帯であるポーランドに侵攻し、これを分割すると両者は国境を接する事になり、軍事衝突に至ったのである。

 地政学的に見れば、また、両国家を成り立たせていた思想から見れば(ナチズム、コミュニズム)、いずれ両国が対立に至るのは時間の問題であったが、当時、地政学は呱々の声を上げたばかりで、未熟であり、日本がこの両国の行動に振り回されたのも無理はなかった。

(松岡洋右のように、独ソの不可侵条約を前提に、日本を含めた三国が同盟を組んで、米・英に対抗しようとした人物もいた。彼は日本と大陸の第一・第二ハートランドと結びつけて、シーパワー同盟に対抗しようとした事になる。独ソの開戦の報を聞いて、松岡はその過ちにすぐ気づき、昭和天皇にソ連への即時宣戦布告を上奏しているが、天皇は、ソ連と不可侵条約を結んだばかりで国際信義に悖るとの理由で、これを許可されなかった。松岡の第一ハートランド挟撃も、天皇陛下の米英との協調方針も、後に発達した地政学から見て、それぞれ決して間違いではなかったと言える。
 当の英米が反日で凝り固まっていて、彼らとの協調の選択肢はありえなかったことを考慮に入れれば、松岡の失敗を笑うことも出来ないだろう。
 少なくとも地政学が発達した今となっても、親米と親中の間でオロオロ、ウロウロしているだけの知識人は決して少なくはないのだ。)

 現在、中ロ両国を動かしているのは、中華思想とツァーリズムという伝統的なイデオロギーだが、これは伝統に回帰している分、どちらかと言えば、抑制が効いた巧妙な戦略性を持つ。
 両国の戦略的同盟関係が急速に崩壊するとは思われないが、本質的に敵対するものである事は念頭において、これに対していくことが必要であろう。

 これまで中国と日米同盟の緩衝地帯として作用してしてきたのは朝鮮半島と台湾であるが、前者は近いうちに予想される北朝鮮の混乱によって大きな変動に見舞われるであろうし、後者は、すでに中国に飲み込まれつつある。

 同時に日露の国境地帯である樺太や北方領土におけるロシア政府の行動も昨年より活発化している。

 第一ハートランド・ロシアと第二ハートランド・中国が同盟を組んで、ランドパワーが日本領土に押し出そうとしているのだ。



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