小川原正道『西南戦争』(中公新書)

 すでに『(新)西郷南洲伝(下巻)』本編を書き終えていた十二月の末頃、中公新書より西南戦争を題材にした新書が出版されました。
 年末年始にざっと目を通したのですが、その後書きによると西南戦争を題材にした新書の出版というのは何と50年ぶりなんだそうである。昨年西郷隆盛没後・西南戦争勃発百三十周年を記念して出版された西郷関係の書籍は、執筆に追われて読む余裕がなく、一切読んでいなかった私でしたが、これについては一通り書き終えたところでもあったので読んでおくことにした。
 ざっとした印象でいえば、著者の小川原氏は多くの史料に当っていて、また若いということもあってか資料の読み方も素直で、予断と偏見が少なく、西南戦争の入門書にはもってこいの仕上がりなのではないかと思います。
 西南戦争勃発の前提となる征韓論政変に対する言及が少なく、これについては同じ中公新書から復刊されている毛利敏彦氏の『明治六年政変』とあわせて読まれれば、基礎的な論点は押さえることができるのではと思います。
 また戦争終結後、この戦争が明治社会全般に与えた影響についても多く言及されており、参考になります。
 ただ一つ注文をつければ、やはり学者であることから慎重で、踏込んだ議論が少なく(これは新書だから無理な注文なのだけど)、西南戦争の中心人物である西郷隆盛の動機などについては肉薄しきれていないということです。
 でも全般的に客観的な態度で書かれており、優れた入門書というのが私の印象です。

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