西郷隆盛

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zoom RSS 『十人の侍』[The Ten Samurai]の出版について

<<   作成日時 : 2017/12/23 14:55   >>

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 しばらくブログの記事更新を怠ってきたが、表題にある『十人の侍』の校訂など、出版に向けての作業に意外と手間取ってしまったのが原因である。

 今回は多少読みやすさにも気を配ったので、通常の出版も考えて、出版社にも打診してみたが、今はどこも採算重視、売れる本を出すことで頭がいっぱいのようで、残念ながら拙著の持つ価値を理解してくれる出版人や編集者に出会うことはできなかった。いや、根気よく売り込んで待てば出会えたかもしれないが、待たされることに嫌気がさして、見切りをつけたと言った方がいいかもしれない。まだ、書かなければならないことは山ほどあるのだ。

 本物の出版人の力を借りることはできなかったのは残念だが、まあ、人間万事塞翁が馬だ。
 かのニーチェが生涯敬愛し続けた歴史家のブルクハルトは、自身の告別式で読みあげてもらうために書いた自叙伝の中で、印税のために書かされたり、出版社の下僕になって生きずに済んだ、という趣旨のことを書いていたが、そう前向きに考えていくことにしよう。唯一無比の内容であることは確かなのだから。

 現在はちょっとした論考やエッセイはブログなどウェブで気軽に発表できるし、Kindleなどで簡単に電子書籍の出版もでき、最近はオンデマンド出版したものが簡単にAmazonで販売できることを知ったので、まとまった論考はこちらを利用することにした。
 
 その第一弾が『十人の侍』ということになるが、分量が多いので上下二巻に分けている。

 次の文章はその内容紹介のために用意したものである。


 「日本は武士の国だ。」
 日本を擁護した親愛なる某超大国大統領はある時側近にこぼしたという。
 「なのに、なぜ北朝鮮のミサイルを迎撃しないのだ」と。
 知ってて言ったのだろうが、答えは簡単だ。
 貴方の先輩方、そしてわが国の先輩方が、その骨太い武家政治の伝統を根絶して、忘却のかなたに押しやってしまったからだ。

 彼を知り、己を知れば、百戦してあやうからず。
 このニヒリズムに覆われた、サバイバル困難な国際情勢下にあって、今、われわれはあの骨太い武家政治の伝統をもう一度思い出し、これを取り戻す必要があるのではないか。本作はその試み、試論(エッセイ)である。
 取り上げたのは日本の歴史において、既成秩序の崩壊、その混乱期にあって、立ち上がった代表的な十人の侍。上巻ではそのうち、明治維新に向けて、伝統の土台を築き上げた八人を取り上げる。

 平将門、源頼朝、北条泰時、楠木正成、足利義満、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康。

 特に最後に挙げた戦国三覇者については、彼らもまた頼ったであろう、和辻哲郎が言うところの、いわゆる「人類の教師」「世界の四聖」の一人、孔子の思想を手掛かりに、思想的に解明しうるギリギリのところまで追究してみた。それが将来の日本にとって、新生面を切り拓く、画期的内容となったかどうかは読者の判断に委ねることにしよう。

 なお、下巻では江戸時代の学問の英雄たちと、残る二人として、幕末維新の英雄、島津斉彬と西郷隆盛を取り上げる予定である。


 以上が梗概ということになる。

 表紙はいかにも素人くさいが、内容をできるだけイメージ化してみた。

 
画像


 今上陛下の御誕生日である本日、十二月二十三日より、AmazonやKindleで電子書籍として購入可能となっている。
 いずれAmazonのオンデマンド出版サーヴィスを利用して、紙の書籍としても簡単に入手できるようにしたい。ただこちらの方はオンデマンドなので、結構高価になってしまいそうである。
 是非ご一読いただき、ブックレビューやブログ等にご意見・ご感想・ご批判等いただければ幸いである。

 
 さて、上巻のクライマックスである織田信長・豊臣秀吉・徳川家康については、このブログで書いた論考を土台に、さらに彼らの信仰の問題と皇室との関係についてかなり踏み込んで考えた。彼らに関するすべての研究に目を通したわけではないので、確認はしていないが、おそらく彼ら戦国の英雄が意図したものにこれまでになく肉迫できたのではないかと感じている。

 押井守監督の『イノセンス』に、

「シーザーを理解するために、シーザーである必要はない」

「そいつはもっともだ、世界は偉人たちの水準で生きるわけにはいかねえからな」

というセリフのやりとりがあるが、確かに英雄的に生きるということと英雄を理解するということには別の資質を必要とするのだろう。
 

 筆者は出版の神には見捨てられているが、日本の神々に祝福されれば本望だ。特に今回の論考は「天主」「豊国大明神」「東照大権現」に褒美の一つでも与えられるような内容であることを願っている。
 一方で、これらの神々を理解する上で歴史学者今谷明氏の皇室と武家の関係に関する研究を叩き台にさせていただいたが、あくまでも比喩的にだが、彼を「穢れ神」さまのように扱ってしまったかもしれない。
 筆者は歴史研究の対象に対して、利口ながらも不誠実な歴史学者の言うことよりも、英雄自身の言葉に信を置き、その言葉に素直にじっくりと耳を傾けようとするので、そのような結果になってしまったものと思われる。

 筆者は文学的素養に欠け、少なくとも名文家ではないので、比較するのもおこがましいが、『十人の侍(上)』は『日本外史』の内容の現代的意義を引き継いでいる。『日本外史』の著者は頼山陽だが、彼がその晩年に精力を注いだのは朱子学に基づく政治論集『日本政記』であった。が、よく知られるのは文学的に優れた前者である。
 彼の著作が多くの志士を振るい立たせ、維新回天の偉業に結実した。

 彼の國體観は皇室中心主義で、武家政治は「大義名分」という朱子学的規範から批判されるべきものとされているが、筆者の場合、武家政治を日本の秩序を草莽(民)の側から創造的に立て直したものとして検証し直し、肯定的にとらえているという点で異なっている。

 そもそも『日本外史』のような分かりやすい様式を目指していたのではなく、筆者の國體論をまとめる内に、自然にそのような形に収まったのであるが、このようなくっきりとした形で、武家政治の骨太い伝統が浮かび上がってくるとは当初から想定していたわけではなかった。

 多くの識者が言ってきたように、日本は概ね神儒仏習合の国としてその國體を創り上げてきた。その重要な一つである儒の伝統に目をそらしての國體論は大きな欠陥を持つことは明確に示せたのではないか。
 これはもちろん、儒教の深遠な思想にひれ伏せ、儒者になれと言っているのではない。どのようなイデオロギーにも負の側面はある。
 ただ、晩年の小林秀雄が、日本の知識階級〈インテリ〉はニーチェを潜り抜ける必要がある、と繰り返し言っていたように、日本の保守は日本における儒教受容の伝統を潜り抜ける必要があるのではないか、と繰り返し問いかけたいのである。

 筆者は英語に「リヴィジョニスト」と翻訳されるところの「歴史修正主義者」ではない。ただ歴史に「温故知新」的に向き合って、間違っていれば、日本的な言葉の意味合いにおいて修正すべきだと考える「歴史修正主義者」である。しかし、この態度は、間違っていると思えば間違いを指摘し、修正するのは知的誠実というものであって、「主義」というほどのことではない。

 坂本龍馬は「日本を今一度洗濯致したい」と言った。汚れた衣服を洗い清めて、困難な時代に清新な気持ちで前向きに生きていこうとする態度であるが、その前に、汚れがこびりついて、復元が難しいからこそ、もとの衣服がどのようなものであったかをできる限り、忠実に見直そうとしているのである。根源を見つめ直して、認識を新たにしようとしているのである。

 君がため 捨つる命は 惜しまねど 心にかかる 国の行く末

 今上陛下の御譲位が再来年に決まり、平成の御代もあと一年と少しということになったが、女性宮家創設など女系天皇誕生に向けての陰謀が垣間見るなか、東京五輪を控え、外に目を向ければ、北朝鮮と背後に控える中国の脅威という問題が差し迫っている。

 この戦前にも比すべき内憂外患に直面して、伝統の見直し、復興など、迂遠で間に合わないかもしれないが、伝統を信じ、日本国民に対するわずかな希望を心の支えに、自分の為すべきこと、出来ることを粛々とやっていくしかない。
 台湾、尖閣、沖縄が中国の覇権下にドミノ式に置かれていけば、日本の知識階層は容易にこれになびくはずであるから、自由な発言は出来なくなるであろう。戦前の日本人はそれでも戦って敗れたが、このままでは、敵の思惑通り、戦わずして敗れるという、地獄への道を進んでいるのではないか。

 「天国へ行くのに最も有効な方法は、地獄へ行く道を熟知することである」と言ったのはマキャベリだが、古代ローマの格言によれば、その「地獄への道は善意で舗装されている」という。日本は近隣国に比べれば明らかに善意に満ちあふれた国だ。その事は肝に銘じておかなくてはならない。

 昭和天皇が敗戦時に、日本の復興には二百五十年かかるだろう、と言われたと伝えられている。それはおそらく精神的復興という意味だと忖度されるが、そういう遠大な仕事に携わっていることを支えにして、一歩一歩前に進んでいくしかない。

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