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zoom RSS 常備の兵数もまた… 【西郷南洲翁遺訓】 第十五条

<<   作成日時 : 2017/01/27 17:15   >>

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常備の兵数もまた、会計の制限に由る。決して無根の虚勢を張るべからず。兵気を鼓舞して精兵を仕立てなば、兵数は寡(すくな)くとも、折衝禦侮ともに事欠くまじくなり。


(大意)常備軍の兵数も、他の事業同様、予算の制限を超えてはならない。虚勢を張って、根拠のない軍備の拡張をしてはならない。兵の正気を鼓舞して精兵に育て上げれば、兵数は少なくても、安全保障上の防衛戦略に事欠くということはないだろう。


【解説】常備軍の兵数のみならず、広く軍備が予算の制限に縛られなければならないのは、文民統制の國體から当然引き出されるべき原則である。ロンドン会議における軍備縮小に軍部が「統帥権干犯」を叫んで異議を申し立てたのは、近代的なシヴィリアン・コントロールの原則にも、わが國體にも反する行為であった。近代国家大日本帝国を創り上げる上で遺伝子の役割を果たした國體観が見失われたことから出てきた発言であったと言ってよい。

 一方で、戦後、三木武夫内閣で定められて以来歴代政権によって守られてきたGDPに対する防衛費1パーセント枠という原則は国際情勢によって必要な軍備は変わってくる以上、根拠がないという点では虚勢を張ることと変わりがない。筆者はこういった戦後の日本にみられる合理的科学的根拠を欠いた原則には、国際政治の力学が働いて、これに隷属する政治家や官僚たちがそれを支えている、と考えている。七〇数年前の敗戦国は、いまだに独立国家たりえていないのが現実だ。旧連合国、今の国連常任理事国がその作用を及ぼしている主体であり、主にアメリカ、そしてかつてはソ連だったが今は中国がそれに代わって日本国家中枢をコントロールしようと工作を行っている。

 「折衝禦侮」とは儒教の経典『詩経』の言葉で、「折衝」とは敵の攻撃を挫くこと、「禦侮」とは敵の侮りを防ぐことで、敵の戦略的意図を挫くということで拡大解釈して外交交渉の意味にも使われる。それを有利に進めるには軍事力のみならず、経済力や政治力などの国力の裏付けがなければならないのは容易に理解できるだろう。国際政治は舌先三寸でどうにかなるほど甘くはない。

 翁は精兵主義で、兵数が少なくとも「折衝禦侮」に事欠くことはない、と述べているが、第1次世界大戦以来、近代兵器の量産によって、国力を総動員しての国家総力戦が行われるようになってからは、精兵主義では「折衝禦侮」に事欠くようになっている。総力戦の中では、精兵はどのように用いるかがポイントになってくるからだ。

 精巧にして大量殺戮可能な兵器の量産は戦争を変えた。わかりやすいところでいえば、いくら精強な軍隊があっても、核兵器を持たなければ、核による威嚇に沈黙せざるを得ないのである。だからこそ、毛沢東はシナ人民の半分を犠牲にしてでも核を保有するという恐るべき国家戦略をとったのであり、もっとわかりやすいところでいえば、軍隊など機能していない北朝鮮でさえ、核保有をほのめかすことで何とか存続できたのである。
 どんなきれいごとを言っても、核保有国に対してアメリカは何も言えない。
 それもこれも日本とアメリカが戦い、最終的に核兵器が使用された総力戦の悲惨な結末が各国の深刻な教訓となっているのだ。
 外交評論家の加瀬英明氏によれば、日本への原爆投下決定の会議に出席していた米軍人に、もし日本が核開発に成功していたならば、それでもあなた方は原爆投下を決定したかと問うと、答えはもちろんノーだったそうだ。トルーマン大統領は嬉々として原爆投下にゴーサインを出した。一方、昭和天皇は「残虐なる爆弾」原爆の開発を禁止した。日本の戦争に道義的規制をかけられたのは昭和天皇であり、その大御心に遵った指導者たちだったのである。
 われわれは学校教育やマスコミや学者に、戦前の日本は悪いことをしたと教えられる。しかし現実的に歴史を回顧していくと、日本は悪者であったがゆえに敗れたのではなく、道義的であったがゆえに、仁義なき総力戦に敗れ、その後、勝てば官軍で、勝者の偏見に基づく情報工作によって賊軍に仕立て上げられていったことがわかるはずだ。そのために、嘘の情報をマスコミで流すだけでなく、検閲、焚書、裁判、あらゆる手段が用いられたのである。
 もっとも核兵器は大量破壊兵器であり、戦略兵器だが、それを保有することによって紛争の抑止力、あるいは政治的駆け引きに用いられる「政略兵器」でもあるから、通常の軍備とは区別して考えるべきかもしれない。その「政略兵器」を備えるという同じ土俵に立った上での精兵主義は、確かに「折衝禦侮」に効果を発揮するだろう。

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